人気爆発している呪術廻戦。
その中でも最強キャラ五条悟の過去編が漫画の面白い要素を全てつぎ込んで最高に熱くなれて面白いです。
五条悟の過去編は暗くて比較的人気が低いと言われがちですが、ダークファンタジーのお手本とも言って良いほど最高です。
なぜ過去編の壊玉編が最高なのかネタバレありで紹介します。
呪術廻戦 五条悟の過去編、壊玉編は何巻から?
五条悟の過去編、懐玉編は8巻の途中から9巻にかけて掲載されています。
わずか、1巻程度の少なさなのに面白さが濃縮されています。
五条悟の過去編、壊玉編が最高な理由
1巻程度しか話は無いですが、その中にダークファンタジーとしての面白要素と熱くなれる要素が詰まっているから懐玉編は最高なのです。
最高に面白い理由について紹介します。
過去編という存在がそもそも面白いに決まっている
そもそも論としてある程度物語が進んだ漫画やゲーム、なんでもそうですが過去編って基本的に面白いに決まっているのです。
今ある既存の人気キャラをさらに掘り下げていく行為でありながら、大体が今より登場人物が未熟なのでハラハラドキドキ感があります。
また、キャラによっては現在とのギャップが必ず存在しているので、それがどこで変わってしまうのかといった謎が謎を呼ぶ展開が盛りだくさんです。
作中では弱者である非呪術師を間引こうとしていた夏油傑と強く優しい五条悟が反対のような主張をしているのも関心を引きます。
何が起こって変わるのか。
結果はわかっているけど内容はわからない。
マジックの種明かしをしてもらっているような快感が過去編という存在には既に宿っているため面白いのです。
最強を中心とした信頼から孤独への変化が秀逸
懐玉編が面白い理由として感情の移り変わりが機微がしっかりと描かれていることにあります。
二人の関係性を支えていた、変えてしまった部分が読んでいて何とも言えないのです。
最強を中心にお互いの信頼から孤独への変化を見事に表現しているのです。
懐玉編で随所に見られるのがこの“最強”という言葉です。
最初は五条がしきりに俺たちは最強であると言い放ち、本当に辛い場面では最強でいられるのは夏油がいるからであると信頼しています。
夏油の方も最後あたりの場面ではっきりと私たちは最強であると宣言していることから二人でいるからこそ最強であるという信頼関係が築かれています。
学生時代に持ち得た、対等で最強の二人という最強に熱い展開です。
それが物語終盤になると変わります。
「悟は”最強”に成った」と明らかに明言しており、完全に置いていかれた心情を表現できています。
社会人とかになるとよくある「お前変わっちまったよ・・・」状態になり、変化が関係性にも影を落とすようになります。
たった一人の対等な親友が先に進んでしまった孤独感と過去対等であったゆえに相談できずに闇を抱えていくダークさが本当に最高です。
誰が悪いわけでもないのに、変化がどうしようもない結果をもたらす。
まさにダークファンタジーにふさわしいです。
五条悟が最強になるまでの成長ストーリー
二人で最強であるとの発言から過去編では五条は最強に近いが最強ではないわけです。
つまり、過去編を通して五条悟が本当に最強になるまでの成長ストーリーとしても楽しむことが出来ます。
過去編では、術式反転を習得しておらず失敗しており辛うじて人らしさが残っています。
また、自動防御の無下限術式も過去編では自分でコントロールしなければならず、隙を付かれれば人並みにダメージを受ける欠点がありました。
それゆえに伏黒パパに一度は負けます。
それが術式反転をものにし、攻撃力、防御力共に全く他を寄せ付けない強さを見せつけ伏黒パパにリベンジするという成長とリベンジを両方実現する王道ストーリーです。
王道ゆえにシンプルに面白いのも魅力です。
戦闘に至るまでが頭脳戦を展開している
呪術廻戦は、ハンターハンターよろしく能力を駆使した頭脳戦も魅力なのですが、懐玉編が一番頭脳戦を展開していると言えます。
そもそもが最強に近い特級術師である二人を相手に立ち回っていくわけですから単なる能力だけのバトルで無いとこに魅力があります。
能力の裏をかいて戦闘中に倒そうではなく、最強に近い五条の極々少ない隙を炙りだすために削る作業の見せ方が素晴らしいです。
削るための敵を用意することで夏油と五条の異常な強さを引き立てておきながら、削り作業によって勝つための状態を戦う前に作る用意周到さ。
こんな奴らにどうやって勝つのかと思わせておきながら頭脳戦で相手に勝利していくしたたかさを同時に味わえるのでつまらないはずがないのです。
伏黒パパという不遇が最強を倒すなろう的カタルシス
伏黒パパは簡単に言えば才能が無い落ちこぼれ扱いに禪院家ではなっています。
この伏黒パパという不遇で才能が無い落ちこぼれ扱いされている男が最強の特級術師五条悟と同じく特級術師の夏油傑を倒すわかりやすいなろう的なカタルシスが面白いのです。
本来付け入る隙なんて無いように思われる五条を頭脳戦で削るしかないという自分に才能が無いという割り切った考えとそれを実行する胆力。
五条を後ろから刺したときは敵サイドのキャラだけども興奮しました。
才能が無い不遇な扱いを受けていた割には、天与呪縛のフィジカルギフテッドと呼ばれるクソカッコいい能力と厨二全開の天逆鉾と呼ばれる武器を使って躍動する。
良いなろうと良い厨二の組み合わせが敵キャラに発生しているので敵キャラに対しても好感度が爆上がりする仕様になっています。
さらに、素晴らしいのが負け方です。
結局最後はコンプレックスの部分が前面に出てしまったことのミスで負けてしまうのですが、冷徹な計算高いキャラが最後に見せる感情論に胸がざわつかないわけがありません。
勝った時の捨て台詞もコンプレックスと未練たらたらな所と根っこの部分はプライドで戦っていた熱さが混在しています。
不遇が最強を打ち破るカタルシスとコンプレックスが最後に出て理想に届かない理不尽さともどかしさがまさしくダークファンタジーとしてふさわしいです。
ダークファンタジーとして非常に後味が悪いストーリー
久しく漫画でダークファンタジーとして優秀な作品が出てきませんでしたが、呪術廻戦はダークファンタジーとして最高です。
特に懐玉編の何が良いかと言えば後味が悪いストーリー展開が良いです。
誰も悪くないけどどうにもならない、修復できない関係、救いの一切ない展開が詰め込まれておりダークファンタジーとしてあるべき姿です。
最終的には五条と夏油が必死に守った天元様の依り代になる女の子も殺されてしまうし、殺されても代わりが見つかって何の影響もない果てしない徒労感。
守るべきと信じたきた人間の醜悪さを目の当たりにした絶望感。
変わった親友相手に相談も何もできずに一人狂っていく夏油と親友の変化に気づかない五条の切なさと無力感が全面的に出ている内容です。
誰が悪いかと言えば誰も決して悪くないのに結果だけ見れば最悪の展開にばかりなっていくどうしようもなさ。
人間の苦悩にスポットを当て、明るいカタルシスを感じさせたと思っても結果的にはどうしようもない絶望と誰を責めていいかわからない鬱屈さと無力感を感じさせる。
まさにダークファンタジーとしてこれで良いんだよって胸を張って言える展開かばかりなので最高に面白いのです。
まとめ
連載時はあまり評価が高くないと言われている懐玉編はむしろ一番面白いとさえ言えます。
その理由はダークファンタジーとしてこれだと言える要素と数々の熱くなれる要素を詰め込んでいるからです。
ダークファンタジーとしてお手本のような展開ばかりの懐玉編は絶対に読むべきです。