ガレリアの地下迷宮と魔女の旅団のトロコン済み評価・感想を書いていきます。
伏線回収あり、泉達也さんの才能が溢れている作品ではあるが前作の神ゲーと比べると期待外れと言える作品です。
全体としてみれば良ゲーです。
どこが素晴らしいのか、そして良くない部分についても紹介します。
総合評価:92点
シナリオ:95点
グラフィック:99点
音楽:99点
ゲームシステム:99点
利便性、完成度:70点
良かった部分
後述する良くなかった部分も多々あるゲームですが、前作からのファンなら買いだと言える多数の素晴らしい要素があります。
その部分について紹介します。
シナリオは唯一無二の世界設定と伏線回収ありで面白い
まず何と言っても魔女と百騎兵→ルフランの地下迷宮と魔女の旅団と続く魔女シリーズ最大の魅力はディレクター兼シナリオライターの泉達也さんの才能です。
特にルフランの地下迷宮と魔女の旅団は本当に神ゲーなので未プレイならば是非プレイすることをオススメします。
このご時世に練りに練られた唯一無二の独創的で多面的な要素を織り交ぜた世界設定は今作でも顕在です。
そして、世界設定だけが優れているのではなくしっかりとストーリーまで完成度が高いものになっています。
今作でも謎が謎を呼びグイグイ引き込まれるストーリー展開と伏線回収は健在で楽しくプレイすることが可能です。
また、前作と比べて圧倒的にストーリーのボリュームが増しているので長時間唯一無二の世界観に触れられる楽しみがあります。
前作が好きで泉達也さんの世界設定がのめり込んだ人なら買わない選択肢がありません。
ただ、このストーリーに関してもいくつかの不満があることだけは注意です。
前作からのような鬼畜でえげつない展開がすっかりとなりを潜めてしまっています。
変に一般受けを狙ったのか前作でいくらかの苦情が来たのか知りませんが、ダークファンタジー要素はあるけど今までのような陰鬱な感じがなくなっています。
自分もえげつない話を期待していたのにそれが無くなってしまったのは純粋に残念です。
何と言うか前作までの狂気がなくなっています。
さらに、安易なハッピーエンドで終わってしまうのもちょっと個人的に不満です。
今までもハッピーエンドのように終わっていましたが、実際はよく考えるとハッピーエンド?となるようなラストでした。
空気的にハッピーエンド感を出しているけど絶望の中に希望があるぐらいの感じのラストが最高だったのにお利口なエンディングになってしまっています。
人によっては陰鬱な感じが無くてやりやすいのかもしれませんが、本格ダークファンタジーを期待すると肩透かしを喰らいます。
外道魔女などの要素が全く出てこない残念な部分もありますが、世界設定をより深く説明されている場面も多く次作に繋がりそうなキャラ伏線もあるので楽しみではあります。
敵味方共にキャラデザが綺麗で画質も良い
前作から続いて全く不満が無いどころか最高なのがキャラデザと画質です。
登場する人物全てが愛着があってどこか癖になるようなプレイする度に馴染んでいくキャラ絵。
そして、可愛らしい見た目から想像もつかないダークな部分が出てくる怖さがギャップによって引き立てられます。
そして、敵キャラは可愛いキャラもいれば相変わらずカッコよくもどこか悪趣味でおどろおどろしい感じが出ています。
そして、画質が向上しておりより没入感が増しています。
音楽は相変わらず幻想的で独創性がある
音楽も前作に引き続き文句なしと言えます。
幻想的な雰囲気を的確に表して物語の良さを引き出していると同時にどこか懐かしいノスタルジックな気分にさせる曲ばかりです。
ダークファンタジー要素をより一層高める効果と感動的、熱い場面でもより一層盛り上がることが出来る独創的で幻想的な音楽に引き込まれます。
ダンジョンRPGとして優れていて面白い
肝心のダンジョンRPGの部分なのですが、この点に関しては後述するやり込み要素の部分までいくと不満ですが、最初の25時間ぐらいまでは完全な神ゲーです。
ダンジョンRPGとして前作も完成度が高かったですが、それをさらに超えた正当進化していると言えます。
前作で好評だった壁壊し、経験値繰り越し要素に加えて、新たなダンジョン探索要素が追加されていて楽しく冒険できます。
そして、ファセットと呼ばれるプレイヤーの代わりに戦ってくれるキャラの職業も前作から増えており選ぶ楽しみがあります。
また、職業ごとにスキルがあり多数のスキルを組み合わせていく戦略性があるのも面白いです。
ダンジョンRPGは基本的に難易度が高いゲームが多いですが、ガレリアの地下迷宮と魔女の旅団も難易度がこれでもかというくらい高いです。
とりあえず殴っているだけでは負けるため、スキルの組み合わせなどの工夫で敵を倒す楽しみがあります。
レベル上げも敵が落とす肉で育成が出来るのでいきなり職業を変えてレベル1になってボコボコにされることがなくなりました。
ロードが無く、ストーリーの見返しも出来る
どんなにゲームやシナリオが良くてもロードが長いとそれだけで嫌になってしまうのがゲームです。
しかし、ガレリアの地下迷宮と魔女の旅団はロードがほとんどありません!
起動時に多少のロードがありますが、それ以外はプレイしていてロードが入ってしまうことなんかありません。
スムーズにゲームを進めることが可能です。
さらに、ストーリーも見返すことが出来るようになったのでじっくりとストーリーだけを堪能できるようになったのも素晴らしいです。
クリアすればトロコンになり、トロフィー詳細も凝っている
前作ルフランの地下迷宮と魔女の旅団と同様、ストーリーを完全クリアしただけでトロコンになるので最高です。
変なやり込み要素でトロフィーがあるより、しっかりとゲームを堪能しきれればトロフィーを獲得させてくれる気遣いは素晴らしいです。
後述する悪い要素で間延びしますが、130時間くらいでトロコン可能です。
トロフィーも前作から同様で詳細欄を見るとゲームに完成する様々な一言メモが書かれており凝っているのも良いです。
トロフィーはクリアしただけで取れる、トロフィーも遊びが利いているのでこの部分に関しては100点満点と言えます。
気になった部分
前作は神ゲーだったのに良ゲーになってしまった悪い部分もたくさんあるのがガレリアの地下迷宮と魔女の旅団です。
その部分について紹介します。
最終ダンジョンが手抜きで鬼畜
一番最悪で擁護すら出来ないのがダンジョンの手抜きです。
ストーリーがボリューミーで3部作で構成されるのですが、2部以降はほとんど手抜きと言っても過言ではありません。
1部は完全に神ゲーとして楽しめますが、2部からはダンジョンが自動生成されたランダムダンジョンをひたすら降りていくだけになります。
もうね、ダンジョンRPGの良さが全く消えています。
今まで取ったスキルも普通にほとんどが無駄になるので制作が追いついていないのが一目瞭然です。
そして、このランダムダンジョンをひたすら100階×2をやるのですが、その間ストーリーは申し訳程度にしか進みません。
意味のない水増しをしているのです。
ただ、ここまでだったら大目に見れるのですが最悪で鬼畜で理不尽で意味不明なのが最終ダンジョンです。
全てランダムダンジョンなのですが、その数が頭がおかしいのです。
100階とか999階とかそんなチャチなレベルじゃありません!
3651階までひたすら潜らされます。
しかも、区切りが365階ごとなのでその途中で全滅したら区切りからやり直しです。
さらに、理不尽に全滅するターンオーバーや落とし穴の要素があるので心を完全に折りに来ています。
途中でエレベーターがあり、一気に50~200階ぐらい進める要素がありますが、そのエレベーターもほとんど出ない完全な運なので目が死んでいきます。
もうね、全く何の意味と楽しみがあってこの要素を作ったのか理解不能です。
これだけで完全にゲームとしてケチがつきました。
前作のようなダンジョン世界にストーリーが無い
これは好みの部分ですが、ダンジョン世界にストーリーが無くなっています。
ルフランの地下迷宮と魔女の旅団では、ダンジョンごとに世界がありその世界ごとに話が展開していく面白さがありました。
しかし、ガレリアの地下迷宮と魔女の旅団ではひたすら目的地まで潜っていくだけでダンジョンの楽しみが無くなっています。
ただ、その代わりストーリーがボリュームがあってダンジョンごとの話がメインシナリオと連動するのでそこまで悪くは無いのかもと思っています。
依頼品がストーリーに関係するため売れない
ゲームで必要になる銀貨と呼ばれるお金を手に入れるため売却、仲間を増やすためにアーティファクトを分解するという要素があります。
普通に考えればお金が序盤では圧倒的に足りないので何も考えずに売りまくってしまいます。
しかし、この金策や仲間増やしのために必要なものは依頼品と呼ばれるストーリーと関係なさそうな部分で必要になってきます。
そのため、金策のために安易に売ったり分解すると別途ダンジョンをひたすら潜って手に入れなければいけなくなってしまいます。
この依頼品をこなさないとメインシナリオが進まない、攻略が出来ないことが平気であるのでなんでこんな要素を作ったのか謎です。
攻略サイトありきでないと理不尽な思いをします。
連れ去り要素が何も面白く無い
仲間が連れ去られる要素があるのですが、これが全く何も全然面白くありません!
意味もなく現れる赤いミスト状の敵にぶつかると仲間が連れ去られるのですが、これによって何が楽しくなるのかわかりません。
ただ、意味もなく仲間を失ってそれを探しに行くだけでメンドクサイだけなのです。
敵キャラ使いまわし多過ぎ
ダンジョンをそうなのですが、完全に制作が間に合わない影響か敵キャラが前作からも使いまわされまくっています。
後半とか色違いの敵しかいません。
2部のボスなんか途中の雑魚敵が名前をちょっと変えて理不尽に強くなっているだけでボスとして機能していません。
使いが多過ぎます。
そして、全体としてみればキャラデザは良いのですが、ストーリー同様狂気があって悪趣味でえげつない見た目のボスなどがいないです。
前作なんて外道魔女ゾロークというキャラにストーリー展開共々完全に痺れさせられました。
そんな狂った悪趣味な敵キャラがいなかったのも残念です。
やり込みさせるくせにゲームとしての利便性が悪い
最終ダンジョンは完全なやり込み要素の部分でひたすらレベル上げをしないといけないし、ダンジョンを降りまくるのでアイテムも溜まります。
しかし、やり込みさせるくせにその部分についての利便性が悪いのです。
まず、アイテムロックが無いので貴重なアイテムを保存しておけない。
そのため、安易に一括売却なんてすると大変だから膨大なアイテムを一つ一つ自分で売っていかないといけないのです。
また、マナと呼ばれるお金とは違う、キャラの強化に必要なものはアイテムを分解する必要があります。
この分解については一括分解すら存在していないので一つ一つ完全な手作業で苦痛以外の何物でも無いです。
そもそもアイテムソートも利便性が悪く思った通りのアイテム順に出来ないです。
そして、やり込み要素で魂移しと呼ばれるキャラの職業を変えていくものがあるのですが、膨大な職業とキャラがいるのに過去に何に転職したのか簡単に見れません。
魂移しをするキャラに職業画面で星マークでもつけて区別してくれればいいのにそれをしないため、いちいちステータス画面に戻って確認を繰り返します。
キャラも30人以上いるため後半とか魂移しをするだけで膨大な時間を持って行かれます。
単純に利便性、作り込みが甘いです。
まとめ:全体的に良ゲーで泉達也さんの才能に次作でも期待できる
最終ダンジョンは手抜きの鬼畜、そもそも2部からダンジョンは手抜き。
敵キャラも使いまわしの手抜き。
やり込み要素があるのにやり込むと不便さが目立ちすぎる。
ストーリーも前作で苦情が来て負けてしまったのか持ち味だった鬼畜さとえぐい感じが薄まっている。
そんな悪い要素が多々ありますが、全体としてみれば良ゲーです。
特に1部までのワクワク感は完全に神ゲーです。
なにより、シナリオは薄まった部分があるとはいえ泉達也さんの才能が光っておりシナリオ構築と伏線回収は見事としか言いようがありません。
下手な手抜きで終わってもらいたくない、こんなことで唯一無二の世界観を作れる泉達也さんの才能を終わらせて欲しくないと思います。
新たな謎や世界観の説明が作中に出てきており、次回作を作れる下地は作ってあるように思えることに加えて手抜きをしなければ面白いゲームです。
シナリオ、ゲーム性は、しっかりと一部の苦情に負けず泉達也さんの才能を前面に出して手抜きをしないで作ればまだまだ神ゲーを作れるポテンシャルがあります。
そういった意味で次回作にも期待できるし、一部要素を我慢すれば伏線回収の面白いストーリーが観れるので良ゲーです。
是非プレイしてみてください。