日本の会議で一番重要なものと言えば論理性とか説得力ではなく根回しです。
正直に言えば根回しはくだらないし最悪だと思うのですが実際に根回しをする人間としない自分とでは会議の難易度が全く違ったので根回しの優位性について紹介したいと思います。
根回しをしないとどうなるか
根回しをくだらないと思う人は結構いると思います。しかし、くだらないと思いながらほとんどの社会人はストレスを日本の借金並みに抱えながら根回しをしてなんとか会議を運営して事なきを得ていると思います。
そこで、くだらないと思いながら根回しを一切せずに会議に臨んでみた場合はどうなるか自分の体験から言わしてもらうと難易度が一気に理不尽ゲームになります。しかも、逐一言葉尻を捕らえていちゃもんまでつけてくるので結果としてストレスは日本の借金どころかジンバブエのインフレ並みにとんでもないことになります。
60過ぎの爺さん社員が色々な提案に昔から携わっていたそうで何かあるとこの人に相談すべきであるという風潮があり爺さんもそれを表面上嫌がりながら嬉しそうにしてました。しかし、自分は60過ぎの爺さんの考えより若い人の新しい意見・考えがこれから必要であり古い考えはいらないと思い爺さん抜きで提案を作りました。
自分は傷病で休んだ場合に有給休暇とか別に休暇を与える制度を作るために小さい会社なので全体会議を開いたんですがこれが大炎上。
そもそも傷病休暇を作れと言った60過ぎの爺さんが何でこんなものを作るんだといきなりキレました。一瞬何が起こったのか理解できず理解しようにもアルツハイマー病か並行世界からやってきた説しか思い浮かびませんでした。
休暇の内容は月に傷病があった場合35時間の休暇と感染症に感染した場合別に35時間の休暇を与えてインフルエンザAとB両方に同月にかかっても会社に来られると迷惑なので来なくても給料が出るように提案しました。さらにこの制度で有給がまだ少ない新入社員が病気やケガをしても休めるようにしました。
結果として自分の出した提案が通って通った後は爺さんも風邪を引いたりしたときに結構活用したんですがその時は終始ゴキゲン斜め。
お前は会社の理念が理解できていない。こんな舐めた制度で本当に会社の未来は大丈夫なのかと散々言われたい放題で良いことなんか全くありません。会議するにも完全論破するまでやるので疲れますし完全論破すると爺さんと関係が元々良くないのがさらに良くない感じになりました。
根回しをしないと例え良い制度であっても会議で大戦争が起きることがわかります。
根回しをした後輩はこうなった
そんな自分の大炎上を見た後輩は翌年爺さんを提案するときに計画段階から参加させます。
するとなんということでしょう。自分の時は阿修羅みたいな顔と態度で接していたのがまるで嘘のようにへらへらしてるではありませんか!!
しかも、第一声が「自分はこの問題に色々精通しているから何でも聞いてくれ!!」と言うではありませんか。議論する前に既に通る前提で話を始めているので「こいつ何言ってんだ?」って思いましたがそれ以上にその豹変さに驚きます。
提案内容は配偶者手当を手厚くするという時代錯誤な提案を喜々として行うのでさらに驚きました。根回しさえしてくれたらどんな提案だろうが基本的にどうでも良いと思っていることがわかります。
これが根回しの効果なんです。普段内心くだらないと思いながらやっていても根回しをしておくと基本的に味方になってくれるので余計な敵と手間が無くて済みます。
根回しはおもてなしの心
上記2つを体験して感じたことは根回しはおもてなしの心ではないかということです。
合理的な観点から言えば爺さんが入ったことで全く時代錯誤で見当違いの案が提出されましたので爺さんはいらないということになります。実際に自分は最初からいらないと考えて計画時には参加させませんでした。
しかし、爺さんを邪魔ものとして扱えば自尊心が傷つきます。そんなことをされれば爺さんは我慢できず暴れまくります。
そんな面倒な相手にいかに気持ちよくなってもらえるか考える。これはもうおもてなしという他ありませんよね!!
根回しは会議を円滑にするために行うと考えられますが、一歩踏み込んで考えると相手が何を求めているか感じ取って事前に相手にエサを与える思いやりの才能がいる行為だと思います。
合理的に考えることを優先する自分は爺さんに対して思いやりの心なんか全くありませんでした。
根回しと言うと非常に言葉が悪くネガティブな印象を受けるのですが本質をよく観察すると思いやり・優しさの才能であるというポジティブな印象を受けると思います。
討論の本質からすれば見当違い
それでも自分は根回しは本質的にはあまり良いものではないと思います。
それは討論の意義を見失っているからです。
討論はお互いの意見を出し合ってより良いものを構築していく過程の作業だと考えています。それなのに最初から議論する気もなく自分が一番気持ちよくなることばかり考えて力で提案を通すことになれば結局長期的に考えれば会社及び組織にとって損失になります。
そのため根回しをせずにしっかりと議論することが最善だと自分は信じています。
自分が根回しをしなかったときは確かに炎上しましたがその際他の会社または公務員はどのような制度で運営されているのか厳しく追及され調べたことにより以前より良い制度に改定して提案できたので結果だけを見ると非常に良かったと感じます。
そのため本当にどうでもいい案件は適当に根回しして円滑に会議を回して会社の長期的な未来に関わる制度などは根回しをせず戦争覚悟で臨む方が結果として自分にも会社にもプラスになると思います。