ジャンプ連載の恋愛漫画「アオのハコ」がジャンプらしくもないしマガジンっぽい感じだけど恋愛漫画として面白いです。
少年より少女漫画と言って良いほどの出来ですが、恋愛漫画として久しぶりに出てきた名作であると言えます。
アオのハコが面白い理由とつまらないのは1話だけだから我慢して読んだ方が良い理由を説明します。
アオのハコが面白い、魅力的な部分
最初は少年ジャンプらしくもないし、ろくでもない新連載が始まったと思いましたがアオのハコは実力がある面白い漫画です。
アオのハコが面白い魅力は5つです。
ゆったり、しっとり、しっかりと時間が過ぎる
女の子とイチャイチャするラブコメではなく本格的な恋愛漫画なのが少年漫画らしくない魅力です。
変にわけのわからないドタバタ劇なんてありません。
ひたすらあるだろう青春を日常を丁寧に描いているのです。
動ではなく静に重きを置いた漫画であると言えます。
ゆったりとしっとりとした展開で進んでいくのですが、気付くとしっかりと話と時間軸が進んでいくそんな不思議な漫画です。
何も特別でない普通の登場人物達が、しっかりと自分と相手と向き合って時折ハッとする名言を言いながら時間を過ごしていく描写が上手くてたまりません。
永遠に時間があるかのように思わせて、時間が過ぎていき焦燥感も感じさせられる何とも言えないもどかしい気持ち。
これを存分に味わえるので至福の時を体験できます。
心理描写が少女漫画の如く繊細
アオのハコの凄い所は少年ジャンプなのにわかりやすい直接的な表現よりちょっと遠回りした表現が良いのです。
単なる赤面とか可愛い顔とかを全面に押し出すのではなく、心理描写をしっかりと描くことで内面からキャラのことが好きになっていくのです。
少女漫画のような繊細で凝った表現によって外面が好きではなく、内面が好きになってしまう本当の恋愛のような漫画なのです。
ヒロインが迷子になった子との会話で浴衣の話になり、自分の気持ちに対して素直になれない不器用さで浴衣で可愛く着飾れない。
それを浴衣を上手く着付けられない不器用さという同じ言葉だけどダブルミーニングで上手いこと表現しているのです。
参照:アオのハコ
こういった人間臭い素直になれないもどかしい心理描写をじっくりと描いてくれるので最高なのです。
オタクオタクしたキャラ付けが無い
少年漫画発祥の恋愛漫画でありがちなのが、一方的な男の欲望を具現化しただけのテンプレ化した欲望の塊のようなオタクオタクしたキャラが多いことです。
これは、ぶっちゃけ男の立場からしても全く感情移入が出来ずアダルト雑誌を読んでいるのとなんら変わりが無いのでキャラとしてそんなに魅力が無いのです。
それに比べてアオのハコは、オタク向けというよりしっかりと人間臭さを全面に押し出して描いているのでキャラというより人となりが好きになってしまうのです。
単なる外見が可愛いとかではなく、内面が可愛いとなるので当然応援したい気持ちもあるし、なんか意味も無くニヤニヤもしてしまうのです。
変に暴力を振るったりも難聴になったりもしない。
真摯に何事にも向き合って悩んで自分なりに答えを出して成長していく、まさに人間そのものなのです。
当たり前の悩みに当たり前に悩んでそれでも魅力的な答えと行動で示してくれるからこそ漫画なのに現実味がありより引き込まれるのです。
部活がわりと熱血で熱い!
恋愛漫画なので部活は適当なオマケ程度と考えていました。
これが思いのほか同棲設定以上にしっかりと活躍しており部活シーンも普通に面白いのです。
恋愛漫画としてもスポーツ漫画としても面白いので1粒で2度美味しいわけです。
なんちゃって天才くんが主人公ではなく、しっかりと部活に向き合ってしかも少しづつ成長していくので応援しないわけにはいかないのです。
しかも、どんなに努力しても届かず才能の前に敗れてしまう無情さ。
それでも、努力をしていくことで天才達に付いていき逆襲の片鱗を見せるワクワク感もたまりません!
部活で悩んで落ち込んだ時に絡むヒロイン達との人間模様もより恋愛要素を面白くしているので恋愛以外の部活要素が全く無駄になりません。
というか、地味に部活シーンが熱くて楽しみなのです。
サブヒロインが最高に可愛い
恋愛漫画で一番重要なのはメインヒロインが魅力的なのはもちろんのこと、サブヒロインが可愛いことが面白さの絶対条件です。
どちらが結ばれるかわからないドキドキとサブヒロインの魅力に揺れ動いてしまうから最高なのです。
なんだったら個人的にはサブヒロインが一番好きで最高だと思っています。
参照:アオのハコ
まず、元気系の悪友ヒロインで絶妙に枯れた心に潤いを与えてくれます。
また、努力家でもありひたむきな姿に心が打たれます。
そんな元気系が恋心に気付き揺れ動く姿と普段見せたことが無い、可愛さと勇気にファンにならざるを得ません。
友達として見ていなかったし接していなかったからこそ、どう動けばいいのかどんな顔すれば良いのかわからない描写が狂おしいほど可愛いのです。
個人的に好きなシーンが主人公と花火大会に2人で行った時のシーンです。
このシーンほど近年の恋愛漫画でグラッと来たシーンはありません。
主人公が買い出しに出かけた所にサブヒロインのことを好きな同級生たちとたまたま出くわし、みんなで花火大会を楽しもうと提案されます。
まず、近年の漫画、ラノベだと確実に嫌なやつでこれが主人公の悪口を言うクソ展開になるのにそうはならないところが良いです。
これに対して特に何を返答したかという描写は一切ありません。
その代わり何気ない描写として以下の様に表現されます。
モテたアピールもしなければ、かと言って変に男に怯えるようなテンプレな態度も取らない相手に悟らせない何気ない態度。
そして、実は主人公と過ごすために勇気を出して相手の提案を断った意思の強さを少ないページでこれでもかと表現しているのです。
主人公は知らなくても読者からすれば、何気なく勇気を出して振る舞っているシーンが尋常ではなく良いのです。
どちらと最終的に結ばれるのかわかりませんが、とにかくこのサブヒロインだけでも最高に可愛く何も言うことがありません。
アオのハコのつまらない部分
アオのハコは基本的に面白いですが、つまらないというか今一歩な部分があります。
アオのハコのつまらない部分は3つです。
1話は普通につまらない
アオのハコは今では面白いというか尻上がりに面白い漫画なので凄いのですが、1話は普通につまらないので打ち切りになるかと思うぐらいです。
もうね、設定がありきたりでかつ胡散臭いので、頭の悪いしょうがないやつ始まったよ・・・と思わざるを得ません。
とにかく盛り上がりどころが無く、唯一盛り上がるというか物語が動くのが好きな先輩が自分の家に居候することです。
そもそも、漫画と言えど高校生が同年代の家に居候するなんていくらなんでもあり得ないし気色悪いです。
そして、居候なんて設定が無理があります。
部活頑張ってる、先輩好きですぐらいしか1話では情報が得られないありきたりで退屈な所に居候同棲設定がやってくるので1話はマジで終わっています。
1話を見てビビってしまいますが、そこから信じられないくらい盛り返すからある意味この漫画は凄いのです。
同棲設定が微塵も活かされない
1話で唯一インパクトがある設定ですが、これが話数を重ねても全く活かされないどころか完全に足を引っ張っています。
最初は一緒に住んでるからと距離が近いとか本当にしょうもないことでドキドキするとかの使い方をしていましたがその程度にしか使えないのです。
実際に家に住んでいて距離が近くてベタベタしていたら普通に付き合って終わってしまいます。
で、逆に学校でばかり話を進めることになるのですが、そうなると居候の設定が全く活かされません。
家で主人公を励ます、主人公が励ますみたいなシーンがありますが別に家で無いといけない理由がないので完全に持て余してしまうのです。
いつまでも、これいるのか???と思える設定が足を引っ張ります。
動きのある描写が上手くない
アオのハコの魅力は動より静です。
この静がゆっくりとそれでいて水面下で熱いからこそ最高なのですが、動きのある部分がちょっと硬いのが残念な部分です。
部活も熱い展開があるのですが、せっかく動きがあるバドミントンなのですからもっと動きのある絵があったら完全に熱い漫画になります。
これが動きが硬いのでちょっと勿体ないです。
また、恋愛青春漫画だからこそ何か物語に動きがあった時ほど登場人物も躍動感が出てくれるとより引き込まれるのですがちょっと棒立ちが多いです。
このように可愛いには可愛いですが何か硬いのです。
立ち絵は綺麗なのでそれが持ち味と言えばそれまでなのですが、もっと動きがあれば完璧なのにって場面が多いです。
まとめ
アオのハコは1話目がありきたりどころか、面白く無いラノベレベルの設定と展開で面白くないです。
ただ、そこから尻上がりで面白くなりじっくりとじわじわと盛り上がっていき見ていてムズムズするように良い気分にさせてくれます。
キャラも変にオタク、オタクしておらず心理描写がしっかりとしており、やっと適当でないちゃんとした漫画が出てきたと思います。
恋愛漫画として近年では本当にしっかりとしているので読む価値のある漫画です。